3×3×3 / ゆらゆら帝国
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「サイケデリック」と、一言で言えば何も苦労はしない。
しかしここにはその袋を突き破るなにかが大量に詰め込まれている。
ガレージ、パンク、サイケデリックロックの要素を含ませながら、極めて正しいスリーピースバンドの音色でその何かははっきりとした姿で飛び出してくる。
何かを伝えようとしているのか、何を求めて表現しているのかわからないまま、全身全霊での演奏が、ボーカルが飛び出してくる。
少しバイオレンスで、グロテスクでニッチな言葉の組み合わせで綴られる歌詞は、まったく別次元のものではなく、急な速度で迫ってくる日常性もある。
そのことで距離感を見誤り、深く突き刺さるのだろう。
かつてクリープハイプが陥った「世界観とはなにか」の問いにどう向き合っているのかはわからないが、もしかしたら塵ほども眼中にないのかも知れないと思えるほど、独特の世界観を愚直に発信し続けている。