Termination / 9mm Parabellum Bullet
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もう10年以上前になるだろうか。
下北沢屋根裏での出番を終えて、つまらないバンドが始まったところで地上に出た。
少し飲み過ぎていたので、落ち着くまであてもなくふらついてから帰ろうと思っていた。
シェルターの前を通った時、ライブハウスとは違う場所で鳴る新鮮な音が聞こえた。
道を挟んだディスクユニオンの自動ドアの前に警備員が2人、こちらを向いて立っていた。
その奥には人の頭がたくさんあり、さらに奥の少し高いところにアフロヘアーがあった。
たくさんの頭はもみくちゃに動いていたが、少し高いところの頭3つはその倍、左右に動き回っていた。
そこで鳴っていたのがDircommunicationだった。
インストアライブ特有のペラペラな音に乗せて、確かなカオスと規律が淡々と流れていた。
当時一定の権力を持っていたストリームであるガレージロックリバイバルとは明らかに違う速さ、歪みで鳴るオケに、客が歌っているのかと錯覚するほどか細い声。
絶対的にも相対的にも異質な音楽であった。
激しい演奏が成す疾走感とミスマッチな綺麗な声、ネガティヴな歌詞はそれをミステリアスなものにする。
自称「ライブ屋」だそうだが、なるほど。
この曲を聴いて多少なりとも体が動かない者はロック(ロックンロール)に対しての鼓膜が凝り固まっているのだろう。
少し考え直すことをお勧めする。