骨抜き E.P. / ポルカドットスティングレイ
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たったの4曲、それを3回繰り返して聴くことで、枯渇感を与えられるバンド、それがポルカドットスティングレイだ。
初聴は既視感の上に並ぶ先人の偉大さだった。
椎名林檎・東京事変のメロディセンスを改めて認識するとともに、クリープハイプの疾走感に想いを馳せる。
二度目は既視感を受け入れ、その心地よさに身を委ねる。
違和感のない馴染みのある音楽を何の疑いもなく、聴いていた。
三度目に聴いたとき、随所のエモーショナルな表現に、メロディと歌詞がピタリと合うキメに気づき、眼を見張る。
四度目に真正面から向き合って、隅々まで感じとったとき、それが完全なオリジナリティの塊であることがわかる。
と同時に、まさに「骨抜き」になっていることに気づくのだ。
神は細部に宿る、と言うが、細かいところまでしっかり出来ているという本来的な意味ではなく、あくまで荒削りな中に、ハッとするような一瞬がある意味では適当だろう。
ピタリと合う演奏と歌唱のジャズ的興奮と、聴き終えた後に廻るキャッチーなメロディラインの残響、かと思えば簡単に辿れない複雑なメロディと僅かの性欲。
既視感という薄い膜に包まれて、これ以上ないオリジナリティを表現するわずか20歳と少しの4人。
これを見逃してはいけない。
これからどう洗練されていくのか。
正しいことも余計なことも雑多に集め続けて、そのフィルターを目詰まりさせて、また新たなオリジナリティがそのフィルターごと突き破って発射されていくのを、まさに「骨抜き」状態で口を開けて見守り続けるしかない。