三日月ロック / スピッツ
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J-POPを語るには欠かせないスピッツの、言わずと知れた名盤。
それでいてポップス、の一言でくくりきれない何かがある。
打ち込み、四つ打ち、もちろんスピッツ流ロックンロールも健在で、深めにかかったリバーブの声が神々しささえ感じさせる。
所謂スピッツのイメージが陽・ポジティブであるならば、このアルバムは陰・ネガティブだろう。
しかし単純に暗い混沌とした曲なわけではなく、センチメンタリズムと憂いを背負って、あくまでポップで在ろうとする複雑さがある。
それが深さと奥行きを実現させ、唯一無二のアルバムとさせる。
周知の通りバラードがピカ一で、気を抜いた瞬間にスッと入ってきて染み込む様な歌声、雰囲気がある。
デビュー以来全く失速しない耳に残るメロディラインが、記憶の中のスピッツの凄さを更新させる。
夏の日の切ない夜に車で聴きたい一枚。
月が欠けてたりしたら一瞬で虜になるはず。