The Cost Of My Freedom / Ken Yokoyama
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「Hi-STANDARDのギターの横山健が始めたソロ活動」
それだけの文言が、全国の子供からいい年したおっさんまでを虜にした。
活動休止以降ぽっかりと空いた穴を、少しだけ物足りなさを感じる昨今のバンドで埋めた私の胸で騒いだ。
一曲目、「I GO ALONE」と、はっきりとした意思表示から入るが、まず驚くべきはアコースティックギターの音色に乗る横山健の歌声だった。
当然だが我々はボーカルとしての彼の声をはっきりと聴くのはこれが初めてだ。
だがあまりにもスタイルがはっきりと確立していた。
違和感なんてものはなく、小気味良いカッティングで進む数分間の間に、後続曲への期待はみるみる高まる一方だった。
今でもライブでこれがキラーソングとなっているのは、シンガロングできるだけではなく、この時の感情がはっきりとリスナーにこびりついているからだろう。
そしていとも容易くその期待を受け止めて、ジャーマンスープレックスまでしてくれるほど最高の出来だった。
相変わらずのパワーコードでのカッティング、ミュート、早弾き。だが知らないメロディ・歌声。不思議な既視感。
Hi-STANDARDの二番煎じでは決してない、しかしハードロック・コアを根幹からモワモワと匂わせながらオリジナルのメロディックコアを奏でている。
もしかしたら横山健という個性が最大限に発揮されるのは、Hi-STANDARDではないのかも知れない。そんなタブーにも似た考えに陥ってしまいそうになるくらい、完成度の高いアルバムだ。
ストレートで、クセがあって、疾走感があってスカッとしてカッコいい。
そんな単純な感想は、Hi-STANDARDで感じたものと同じ輝きのままだ。